プロフィール

天藍

Author:天藍
本や映画や舞台の感想など書いてます(たまにね)。うーん、偏ってますかね方向性。お薦めなどあったら教えてくださると嬉しいです。

ソラノアオ。の…
60%は童子についてで出来ています
25%は夢の宇宙誌で出来ています
8%は太陽王と月の王で出来ています
4%は思考の紋章学で出来ています
3%は黒魔術の手帖で出来ています
(「ドラコニア解析」より)

BlogPet

カテゴリー

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ソラノアオ。
本、映画、舞台の感想と日記など。かなり偏っていると思いますが同好の士求む。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

たまには真面目に
特に知的障碍者に関連して、感想および一試論。

「累犯障害者―獄の中の不条理」山本譲司(新潮社)


こういった本を読むと、障碍者との交流会だの老人ホームの慰問だのを「福祉」と呼ぶのはどうも甘ったるいなと感じる。
決してそういうイベントや奉仕活動が悪いのではない。表面的だと思ってしまうのだ。

内容と関連本についてはシンさんのレビューをドゾ。


(以下、長いです)
レッサーパンダ帽男や下関駅放火事件の第一報に触れたとき、多くの人は「ん?」と思ったのじゃないだろうか。
「この犯人ちょっと普通じゃないな」と思った人はおそらく多いはずだ。

考えてみれば、または指摘されてみれば容易に首肯できる話だろう。塀の中には多くの知的障碍者がいて、外の世界に適応できずに滞留している、という事実。或いは、刑務所が福祉の制度に繋がることが難しい障碍者の収容施設と化している事実。

一般的には、刑務所は「受刑者を罰し、更生させる」ことを名目として、実際は一般人を保護するために異常者を隔離しておく場所という機能を果たしている。
福祉施設は「障碍者を一般社会に適応できるよう更正させるための訓練を行う」ことを名目として、実際には障碍者を「保護・管理」する機能を持つ。そういう歴史があった。

本書は、本来なら福祉的ケアのプログラムが必要であるのにそこに繋がることができず、まったく保護もされずにいる、あるいは社会での居場所がなく、手軽な「収容施設」である刑務所に滞留する障碍者がいる、という現実をつきつける。
ただ、この事実を我々が知ったとして、「保護されるべき普通じゃない奴はまとめて隔離しとくべき」という考えを抱くことは危険だろう。
本書に登場する、一般には犯罪と呼ばれる行為を繰り返すことで「自分の居場所」に舞い戻る彼や、性を売るモノと化すことでやさしくされることを覚えた彼女(そして、未だ触法してはいないがその可能性を持っている彼ら)に必要なのは「更生」ではなく「共生」するための対応だ。

「更正」に必要なのは「逸脱者が社会に適応する」トレーニングのプログラム。
「共生」に必要なのは多元的な自己実現の方法と、社会の底辺に沈まないよう防止するネットワーク。

仕事柄知的障碍を持っている人と接する機会がなくもないのだが、比較的軽度の知的障碍の人の場合、簡単な日常会話くらいは割と普通なのだけど「どう思う?」と聞くと「わからない」と答える、「××ですか?」と聞くと何でも「はい」と答えちゃう(明らかに分かってなくても)、ということが多い。
本書中でも、触法知的障碍者が刑事事件を起こした際の問題点等について述べられているが、司法の場では実際心証は悪いだろうなと思う。
さらに現実的には、知的障碍を持っていたら、そもそも仕事での自己実現は難しい。大体、自分に向いた仕事や得意な仕事に就ける確率が物凄く低い。

知的障碍者は「何をするかわからないヒト」ではない。覚えておくこと、理解すること、判断すること、人に合わせること、言葉を組み立てることが苦手なのだ。
ただ、知的障碍を持たない人たちの世間の理は、知的障碍を持つ人にとって理解しやすいものではない、のだろう。社会の仕組みは、ほぼ知的障碍を持たない者が構成員であるという前提でできているからだ。

さらにいえば、障碍者は保護の対象であるから扱いやすい無垢な者であってほしい、という期待がないか。
特に知的障碍者の場合、本書にも言及されているとおり、マスコミ等に取り上げられること自体がない。無垢なイメエジを作っておき、それからずれるような情報自体隠蔽されてしまうわけだ。そして一般の「健常者」のほうも、無垢なイメエジから先に進もうとすることが少ない。

本書中に、親子で知的障碍者で売春で生きている(生きていた)人の言葉が出てくるが、彼女の言葉は本当に重い。
その構成員は知的障碍を持たないことが前提となっている社会での、知的障碍者の自己実現のひとつの方法がセックスという即物的な(そして、今の日本では違法な)ものであるということ。Mille.cさんの言及は本当に痛い。

知らない人にこそまず読んで、考えてほしい本だと思った。


<文献>

こちらで紹介されていたのですが、浜井浩一氏の「過剰収容の本当の意味」という論文。興味を持ちました。

また、本書でも少し取り上げられている精神病院の閉鎖病棟についての本としては、古いですが「ルポ・精神病棟」(大熊一夫、朝日新聞社、1973)あたりをまずドゾ。(知的障碍者の被収容者についての言及はなかったような記憶がありますが)

読み方が浅い、まとまっていないずらずらしたヒステリックな文章になってしまいましたがこんなところで。
スポンサーサイト
この記事に対するコメント
TBありがとうございます
はじめまして。
TB&コメントありがとうございます。
この本は本当に重くて痛い本でした。
とはいえ、目を背けてはならない現実が
ここにあると思うので
できるだけ多くの人が読んでくれることを
切に願っている次第です。
【2006/10/29 19:23】 URL | シン@偽哲学者 #HfMzn2gY [ 編集]


シンさん

コメントありがとうございます。
そうですよね、まず向かい合って知るところからですよね。
出来るだけ多くの人、特に福祉と関係を持っていない人に読んで欲しいです。
【2006/10/29 21:09】 URL | 天藍 #- [ 編集]


こんばんは。
TBありがとうございました。
ああ、知的障害を持っている方と日常的に接しておられる天藍さんの記事はやはり実感がこもってる。実体験の重みを感じました(私のはただの机上の空論・汗)。

知的障害者=無垢、純真という考えは根強いですよね。
そういう方々を主人公にしたドラマがいくつかありましたが、どれもこれも天使のようなキャラクター造形。
健常者の願望でもあるのでしょうが、差別の裏返しに過ぎないように思います。

【2006/11/01 23:10】 URL | Mlle C #- [ 編集]

>Mlle C さん
コメントありがとうございますー。

>実体験
いやいやいや、Mlle Cさんの記事は至極真当で鋭いと思いました。
実感…というかいっろいろ考え込んでしまってるだけです(汗)
仕事上で関わってるにもかかわらず何も感じなくなってしまったら、その時は自分が駄目になった時だろうなと思ったりします。
>無垢
願望と差別、でしょうね…。
更には、知的障碍者と接する機会がないゆえに「抽象的な話の理解が難しい」という障碍の様態と「純粋さ」を混同してしまう、という面もあるのではないかと。
【2006/11/03 12:18】 URL | 天藍 #- [ 編集]


この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://tenran60sora.blog71.fc2.com/tb.php/83-f0cc19dc
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

累犯障害者 獄の中の不条理

ここ数日、寝屋川の事件をめぐり「広汎性発達障害」と「犯罪」についてにわかに脚光を シンさんの偽哲学の小部屋【2006/10/29 19:19】
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。