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天藍

Author:天藍
本や映画や舞台の感想など書いてます(たまにね)。うーん、偏ってますかね方向性。お薦めなどあったら教えてくださると嬉しいです。

ソラノアオ。の…
60%は童子についてで出来ています
25%は夢の宇宙誌で出来ています
8%は太陽王と月の王で出来ています
4%は思考の紋章学で出来ています
3%は黒魔術の手帖で出来ています
(「ドラコニア解析」より)

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ソラノアオ。
本、映画、舞台の感想と日記など。かなり偏っていると思いますが同好の士求む。
小噺を一本。
今宵の月は巨きな水盤のようであり、実に大きく、白っぽい。
どこからか玉笛の音が微かに聞こえる。

大宋帝国の都・開封の夜は長い。様々な髪の色が行きかう喧騒の中、耳を澄ますと笛の音色は却って掻き消されてしまう。
足元だけを見つめてとぼとぼと歩く。彼はそっとため息をついた。
少し砂塵の匂いのする、乾いた八月の夜。
疾うに沈みきった日烏の残照に、未だに背中を灼かれているような気分だ。

戻るべき故里に、帰郷も墓参さえも叶わぬ。
彼は長子であり、本来ならば家の祭祀を取仕切らねばならない立場なのだ。
老父は既に足腰が立たず、辛うじて母が竈の火を守っている筈だ。

身を立てるまでは帰ってはならぬ、五年間は故郷を思い出してもならぬ、と言われたのだが。
せめて、この冬鬼籍に入ったという弟の新盆には。
そう思うのだが。

すれ違いざまに行商人と思い切り肩がぶつかったのにも気づかず、派手に怒声を浴びた。
陶器か卵でも扱っているのだろうか、などとぼんやりと思う。
故郷では、行商人は確か川縁の柳の下で。

帰れない。戻れる訳もない。私は不孝者だ。
盆にも正月にも帰れる故郷はない。
大通りをよろよろと歩み去る。白い月だけが彼を見つめている。

―彼の名を、覆水という。


以上が「覆水盆にかえらず」の語源である。




***********************


ここまで読んでくださった方、誠に申し訳ありません本当にm(__)m



いや、なんだかこんな感じのネタが身内にあったなあと思ってさ…。

ていうか時代考証とか一切してません、はい。
お盆なんかこの時代の中国にないだろとかこの頃の儒教の影響力ってどの程度なんだとかそもそもなんで宋代なんだとか色々思うわけですがね。。田中芳樹さんごめんなさい(何がだ)
念のため申し添えますと、本来は「It is no use crying over spilt milk」ですので。
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント
小咄を、もう一つ
小咄、と、いえば。

昔、男が、傷ついた鳥を助けた。
その晩、男の家を女が訪ねてくる。
「昼間はありがとうございました。お礼をさせて下さい」
男が喜んで女を家にあげると、女は一室に籠もった。
「決して中を覗かないでくださいね」
ギー、バッタン、ギー、バッタン、ギー・・・
男は我慢が出来ず部屋を覗いてしまった。
女が倒れていた。
ガン、だった。

おそまつさまでした。
【2006/08/06 00:14】 URL | 菊花 #- [ 編集]

あはははははは
菊花さんありがとうございます(^m^)
よろしければまたコメント返してやってくださいまし。
菊花さん宅伺いました!本だけでなく舞台をずいぶん沢山御覧になっていて素晴らしいですー。またお邪魔させてください!
(掲示板にどうも書き込みできなかったのでこの場にて連絡失礼致します。すみません)
【2006/08/06 01:18】 URL | 天藍 #- [ 編集]

うわあ懐かしい
某U先輩だね(笑)彼のライトな語り口(「ある所に覆水さんて人がいてお盆に帰らなかったんだって!」)をあれだけ格調高い文章に仕上げられるはひとえに貴女の文才の賜物。次回は是非部員一丸となっても捏造出来なかった「事なかれ主義」にトライして下さい。ちなみに「琴な彼」まで漢字変換して断念しました(笑)
【2006/08/07 12:00】 URL | 元演劇部員 #bJJKyNOk [ 編集]


ことなかれ…考えてみてる、けど、難しいっすわ(笑)
期待しないで待っててねー。1年後くらいに出来るかも。。
【2006/08/11 22:42】 URL | 天藍 #- [ 編集]


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